先生が教えてあげる
- violeet42
- 2016年11月15日
- 読了時間: 2分
家庭教師の希と教え子の絵里
家族が出払っている家の中、いつもなら聞こえてくる生活の音が聞こえない代わりにカリカリとシャーペンがノートに文字を綴る音と、
「る、らる、す、さす、しむ」
私の隣でまるで呪文のような古典の助動詞を甘い声で読み上げる先生。 古典の成績だけがどうしても伸びなくて、心配した両親が家庭教師をつけてくれた。毎週土曜日にやってくる先生は思春期真っ盛りの私にはとてもじゃないけど刺激が強すぎる。
「絵里ちゃんは飲みこみが早いから大事なところは暗記すればええんよ」 「はい、あの…希先生の教え方、わかりやすくて助かります」 「ん、絵里ちゃんのためやからなあ」
幼少のころから使っている学習机で教えてもらうには隣にいる先生との距離が近すぎて互いの腕がぶつかるたびにその柔らかさを否応なく意識してその先へと妄想が膨らんでしまう。恥ずかしい。いくらなんでもこんな絵にかいたような状況で欲情してしまうなんてどうかしてる。顔に熱が集まるのを実感して悟られないようにうつむいてなんとかやり過ごそうとした。
「絵里ちゃん、どうしたん?」 「いや、べつに、」
シャーペンを握る指に力を入れれば先生の指先が私の手の甲をするりと撫でて、うなじがぞくりと粟立った。
「こっち見て」 「あ、その、」
それでも頑なにうつむいていたら顎を先生の方に向けさせられて、視線が胸元に辿りついてしまう。 さっきまできっちりと上まで閉まっていたシャツのボタンが3つ分開けられていて真っ黒の下着に包まれた真っ白くて柔らかそうな胸元が露わになっていた。
「絵里ちゃん、もしかしてうちが一生懸命勉強教えてる時にやましいことでも考えてたん?」 「ごっ…ごめ、なさ」 ちがうんです私はただきれいだなって。ごめんなさい。ちがわないです。先生のその甘い声とかやわらかな肌とか蜜のような香りとか、先生を構成するすべての要素が私を誘ってくるんです。不真面目でふしだらな生徒でごめんなさい。 弁解なんてしなくても有罪判決はもう出ている。ああ、先生に嫌われてしまった。軽蔑されてしまった。いたたまれなくて泣きながら謝ったら、先生が不意に手を取って私の中指を口に含んだ。そのままゆっくりと根元まで舌を絡ませて指を唾液で濡らした後、呆然とする私を見て先生が囁いた。 「ねえ、今日家に誰もいないんやろ?」
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