枕の下は鬼門やで
- violeet42
- 2016年11月14日
- 読了時間: 5分
「ねえ、希。百合ってなに?」 「えっと、その…」
ニコニコしながら専門用語を口にする純粋な親友に対して、うちはどうすればいいかわからず泣きたくなった。 えりちがテスト勉強をしようと持ちかけてきて、それならばとうちの家で勉強会をすることになった。本当はにこっちも誘って3人で勉強する予定だったけれど、いち早くわしわしの気配を察知されて逃げられてしまった。
「紅茶でええ?」 「うん」
ティーポットから飴色のダージリンを2人分のカップに注ぎ入れる。クッキーと一緒にお盆に載せて自室の扉を開ければ、えりちが漫画を手にしていた。そう、漫画。ただの漫画ならよかったのにそれは18歳未満は読んではいけない類の漫画で、しかも女の子同士のもの。簡単にいえばえりちの手に負える読み物ではない。
「いや、まさか、枕の下に、そんなベタなところからこんな本が出てくるとは思わなくて」 「いや、ちがうんよ」
何が違うのか状況からしてもう明らかにアウトなのにしどろもどろになって言葉を続ける。
「最近、こーいうジャンルのものが流行っとるらしくて。やっぱり保健体育も立派な勉強やろ。だからちょっと読んでみようかなって」 「保健体育の一環なの?」 「そうやで」
えりちが無垢な目でこっちを見るから眩しすぎて目を逸らしそうになったけれどなんとか真顔で見つめ返した。
「じゃあいろいろ教えてくれる?」 「へ?」 「私、こういうの疎いでしょ。だからみんなの話についていけなくて、ちょっとさみしかったの」 「あ、えーっと、」
後ろからわしわしと胸を揉まれて何ともいたたまれない気持ちになる。
「えりち、ちょっと恥ずかしいんやけど…」 「いつもにこ達にしてることじゃない」 「まあ、そうやけど」
こんな静かな状況で、無言で、絶妙なタッチでわしわしをした覚えはない。えりちの足の間にすっぽりと収まって抱きしめられるようにして腕を回されると、さすがにうちもちょっと照れてしまう。
「な、なあ、もうそろそろ勉強しよ?」 「見て希。この女の子の乳首、ちょっと大きすぎない?」 「いやあの…」
もうだめだ。一刻も早く勉強したい。これ以上純粋なえりちを汚したら絶対にバチが当たる。右手でわしわし、左手で漫画のページをめくりながらえりちが楽しそうにうちに意見を求めてくる。
「え?あ、ちょ、えりちっ」
どうやってこの特殊な状況から自然な流れで勉強へと持っていこうかと考えを巡らせていたら、突然えりちがうちの制服のリボンをするりと外した。
「え、えりち!なにするんっ?」 「実際の乳首はどうなのかなって」 「自分の見ればいいやん!」 「私のじゃなくて他の人のが気になるのよ」
そのままボタンまで外そうとするからえりちの腕をおさえて慌てて止める。
「乳首なんてみんな一緒やっ」 「じゃあなんでこの漫画の女の子たちはこんなに乳首のバリエーションがあるのよ」 「それは…」
うちが言葉に詰まったのを見てえりちが勝ち誇ったような顔をする。
「ほら、やっぱり乳首にも個性があるんだわ! 希のはどんな感じなの?」 「や、や、や、やめやっ! お風呂で見たことあるやろっ」 「あれは皆いたし、そんなこと気にもならなかったから」
じゃあもうそのまま気にしないでほしい。そんなに目を輝かせてうちを見るのはやめてほしい。もういやだ。
「うちの乳首はな、その、なんの変哲もない無個性な乳首やから」 「それってどーいう乳首? 見せて」 「え? いや、その…いややって!」
第三ボタンまで外されて、身に着けていた白のブラが露わになったところでさすがに身の危険を感じて、えりちを突き飛ばそうとしたら逆に腕を掴まれた。
「保健体育なんでしょう?」 「え?」 「それとも希はえっちな目的のためにこの本を読んでるの?」
曇りのない澄んだ碧い瞳に見つめられて、きょとんとした顔で首を傾げられたらもう何も言えなくなってしまった。
「…ちょっとだけやで?」 「うん。」 「…誰にも言ったらあかんよ?」 「もちろんよ」 「…笑わんって約束してくれる?」 「まかせなさい」
顔が真っ赤になっているのを自分で自覚しながらも、震える手でそっとブラのカップを下にずらした。
「ハラショ……っ」
どうしようもなく恥ずかしくてぎゅっと目を閉じたけれど、えりちの視線がうちの乳首に集中しているのを感じてしまう。
「希の乳首って私のよりも、乳輪が大きいのね…」 「ううっ…だからいややったのに……こんな大きな乳輪、お嫁にいかれん……っ」
ずっとコンプレックスだったうちの乳首を、えりちに見られてしまって恥ずかしい。こんな牛さんみたいな胸、絶対に笑われるに決まってるから。
「そんなことないわ。うすピンク色ですごくかわいい。食べちゃいたいくらい」 「え? えっ?」 「あ、ぷっくりふくらんできた」 「ひゃあっ……あ、んっ…ちょ、えりちっ」
いきなり乳首を口に含まれて体に刺激が走る。えりちが片方の手でうちの乳首をくにくにとつまんでいじるからすぐに硬さを増してくる。
「こんな、あっ…やめ、んっ…あっ……」
ちゅっと赤ちゃんみたいに吸い付かれているのに口の中で乳首を甘噛みされるから体に力が入らなくなる。
いつのまにか床に押し倒されていていったい何でこんなことになったのかうまく頭が回らない。
「ふぁ…んっ、えり…ち…あっ、あっ…はぁ…ん…」 「希、なんだか漫画と同じ展開になってるわ」 「も、もう、ええやろ……はぁっ…勉強、しよ?」
乱れた制服を胸の前にかき集めて、上がった息を整えながらテンションが上がっているえりちに提案した。
「希」 「なん?」 「すごくかわいかったわ。あんな色っぽい声初めてきいた」 「そ、そんなんっ……うちはしらんっ」
こうなったのもうちがベタな場所にあんな本を隠すから。一人暮らしだからと完全に油断して気が緩んでいた。頭の中で反省会をはじめようとしたらポンポンと肩をたたかれた。
「ねえ、希」 「な、なん?」 「貝合わせってなに? クンニって? パイパンって天然でなるもの? 希のアンダーヘアはどんな感じなの?」
「あ、や、その……えっと、」
うちはどうすればいいかわからなくなって泣きたくなった。
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