痛みだけが真実でした
- violeet42
- 2016年11月14日
- 読了時間: 5分
人妻の希と大学生の絵里の不倫話 ※ふたなり注意
「希さん……?」
バイトが長引いて疲れた体を引きずりながらアパートに辿り着けば、希さんが私の部屋のドアの前でうずくまっていた。ドアの横にひっそりと設置されている切れかけの外灯がちかちかと頼りなさげに希さんを照らして、駆け寄ってみてようやく事態を理解した。
「これ……いったい、どうしてっ」 「絵里ちゃん…よかったら今日泊めてほしいんやけど、」
うずくまっていた希さんが顔を上げてにっこりと笑ったその唇の端は血が滲んでいて、ボロボロになっている体のあちこちには痣が痛々しく点在している。いつからここで待っていたんだろう。どんな気持ちで待っていたんだろう。どうして希さんがこんな目に? 見ているこちらの胸が苦しくなってしまうような状態の希さんを目の当たりにして、煮えたぎるような怒りが体中を巡って頭に血が上る。思いつく人間なんて一人しかいなくてとっさに踵を返そうとしたら、
「絵里ちゃん……っ」
弱弱しい力で、それでもしっかりと希さんが私の腕をつかんで静かに名前を呼んだ。
「お願いやから、一緒におって…な?」
こんなに、こんなにひどく痛めつけられて、こんな仕打ちを受けてまでどうしてそこまであの男を庇うのか。もう関係なんて破綻しているのに。永遠の愛の誓いなんて嘘だったって思い知っているはずなのに。あなたはどうして。
痛みに顔を歪めながらゆっくりと起き上った希さんが私をそっと抱きしめて狡い手口で私の選択肢を奪うから、何も言わずにドアを開けて部屋に引き入れた。煮えくりかえるほどあの男に腹が立っているのに、希さんが私を頼ってきてくれたことに喜んでいる自分に、そんな身勝手な自分に一番腹が立つ。
「このままで、お願い」
部屋に入ってすぐに電気をつけようとしたら希さんの静止の声がかかって手を止める。隠そうとしたってもう傷の酷さは、あなたがどんな扱いを受けたのかなんてもうわかっているのに。
「とりあえず体を温めてください」
そんな冷えた体では、きっと心の芯まで凍てついてしまう。薄暗い部屋の中を携帯の微かな光を頼りに進んで、タオルと着替えを用意して希さんに手渡した。
「絵里ちゃんも、入ろ」 「……え?」 「一緒に入りたい」
そのまま脱衣所まで手を引かれてお互いに黙々と服を脱ぐ。衣擦れの音が微かに耳に入ってくるたびに心がざわついて、急いで全裸になってお風呂場に逃げ込んだ。
ざあ、と体を流して、湯舟の中で膝を抱えて縮こまる私に背を向けて、膝の間に割って入るようにして希さんはそっと腰を下ろした。真っ暗な深夜の浴室で、ちゃぷんと水音が響く。ゆっくりと背中を預けてくる希さんの重みを、肌のなめらかさを感じて身体か熱くなった。
「なあ、絵里ちゃん」
私の太ももをそっと撫ぜる指が上へと目指して動いていく。
「なあ、うちのこと、すき?」
隠そうとしても誤魔化せないくらい硬く勃ち上がった私のモノを希さんの手が包みこむ。
「したい?」 「私は、そんなつもりじゃ…あ…っ…」
希さんが傷ついている時に欲情なんてしている場合じゃないのに、希さんの身体が触れるだけで、触れてくるだけで私の身体は反応してしまう。自分の情けなさと浅はかさに目眩がした。
「なあ、言ってほしいんよ」 「あ……んっ……はぁ……」
希さんが振り返って向かい合った状態で、私のモノを強く握りしめて上下に動かすから気持ち良くて湯舟の縁をぎゅっと掴んだ。
「すき、希さんが…あっ…ぁ…す、き……っ」 「えりちゃんのここ、熱くてぬるぬるで、もう我慢できんって、」
くちゅくちゅと先端を柔らかな手のひらで擦られて目の前にいる希さんの首に腕を回した。そのまま口づけようとしたら避けられてじっと見つめられる。
「絵里ちゃん、今どんな顏しとるかわかる?」 「ど、して……、」
暗闇に慣れてきた視界の中で希さんが微笑んでいる。
「うちの身体で興奮してくれるんは、絵里ちゃんだけ」
そのまま希さんが膝立ちになって、私のモノを自分の入り口にあてがう。
「うちを見てくれるんは、絵里ちゃんだけ」
ゆっくりと希さんが腰を下ろす。
「や、希さっ……こん…な、だめ…」
こんなの間違っている。こんなことがしたかったわけじゃない。私は希さんのために、あなたを救いたいのに。全く濡れていない希さんの入り口は私の熱い欲望を無理やりに飲み込む。ぎちぎちと受け入れていく希さんは痛いはずなのに苦しいはずなのに、
「……っ、なあ、うちのナカ…気持ちいい?」
希さんが腰を揺らす度にぴちゃぴちゃと水か跳ねて私の、希さんの、頬を濡らす。
「あ、あ、やだ……んっ…のぞ、み…さ……っ」
こんなのセックスでもなんでもない。ふたりで傷ついているだけ。それでも快感が全身を駆け巡って、私の欲が希さんの奥に吐き出された。
「はぁ、はぁっ……はあ……はぁ」 「気持ちよかったみたいやね。もうすっかりどろどろ」
咥えこんでいた私のモノをずるりと抜き出して、希さんが私の吐き出した欲を指で掻き出して舐めとる。
「うちの身体でよければいつでも使っていいから、な?」
朦朧とする意識を、上がった息を整えながら希さんを見つめたら、湯舟の縁を掴んでいた手にそっと左手を伸ばして指を絡めてきた。
「うちも、絵里ちゃんがすき」
それならどうして頬を濡らすの? どうして傷ついた顔で笑うの?
そっと言い聞かせるように交わした口づけは鉄の味がした。
「私が希さんの、幸せに……なりた、い」
絡み合った指と指をきつくきつく絡めあう。希さんの薬指に冷たく感じる違和感にはそっと目を閉じて見ないふりをした。
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