ひとりじゃなんにもできない
ほんとうの物語をおしえて 5 「あなたを愛しているの」 電話越しで遠い誰かにそう告げるのを聞いて馬鹿みたいだと思った。そこまでしてだれかに執着しても意味はない。結局ひとりになるんだから足掻いたところでどうにもならないのに。相手から一方的に通話を切られたのか彼女は黙り込んだ。...
あなたから熱くなれ
ほんとうの物語をおしえて 4 「んっ……えりち、」 「裾、ちゃんと持ってて」 「んっ…ぅ……ごめ、ん…っ」 ブラウスの裾を希に持たせて、ブラを押し上げて真っ白な胸を露わにする。そして桜色の先端に顔を近づけてゆっくり吸いついた。...
微笑みよりも甘いのは、
ほんとうの物語をおしえて 3 朝昼晩、規則正しく食事が用意されて、部屋が散らかることなく綺麗に保たれている。乱れた生活リズムがこの1ヶ月で改善されていた。例えば食器を洗う音だったり、掃除機の音、トントントンと手慣れた様子で包丁を扱う音。私にはあまり縁のない生活の音を希が奏で...
冷たい言葉 / 優しい視線
ほんとうの物語をおしえて 2 珍しく目覚ましよりも早く起床してぼーっとした意識のままリビングに行けばソファがこんもりと盛り上がっていた。まだ夢の中かとふわふわ考えていたら、そういえばとんでもない拾い物をしたのだと思い出す。キッチンでインスタントコーヒーを淹れぼんやりとソファ...
ドアに挟まったプロローグ
小説家絵里となにも持ってない希の話。 ほんとうの物語をおしえて 1 「ねえ、おねがい。戻ってきて」 電話口でささやかれる甘い声。何度も聞いてきたこの声を、心地よく感じていたことがかつてあった。 「あなたがいないとだめなの」 やめて。 「絵里もそうでしょ」 もうやめて。...
ホウレンソウは正しくね
新社会人として働き始めてもう4ヶ月。仕事にも慣れてきて少しずつできることが増えてきた。目覚ましの電子音に起こされてぼんやりする頭をなんとか覚醒させる。お弁当を作って朝食を食べて歯を磨いて化粧をして着替える。もうすっかり気持ちが仕事モードに切り替わって弾んだ気持ちのまま玄関の...
ホウレンソウはしっかりね
社会人パロ 新社会人として働き始めてもう3ヶ月。だんだんと仕事には慣れてきてけれど毎朝憂鬱な気分で目が覚める。朝食を食べて歯を磨いて化粧をして着替えたところでようやく気持ちが仕事モードに切り替わるけれど玄関のドアがいつも心なしか重い。ああ今日も一日頑張らないと。...
あなたの望みをおしえてほしい
μ'sが存在しない世界線の話。生徒会長じゃない絢瀬絵里。 「廃校になるって噂されてた音乃木坂、新入生増やすためにスクールアイドルはじめた子たちがいるんやって」 「ふうん」 「なんか青春って感じやね」 青春、そんな言葉でこの退屈な3年間を括らないでほしい。こんな檻のような...
痛みだけが真実でした
人妻の希と大学生の絵里の不倫話 ※ふたなり注意 「希さん……?」 バイトが長引いて疲れた体を引きずりながらアパートに辿り着けば、希さんが私の部屋のドアの前でうずくまっていた。ドアの横にひっそりと設置されている切れかけの外灯がちかちかと頼りなさげに希さんを照らして、駆け寄って...
世界を閉じ込めた夜に
※ふたなり注意 「はじめまして、絢瀬さん」 にっこり笑って差し出された手を、私は握り返すことができなかった。この穢れを知らない綺麗な手に触れてはいけない。触れてしまえばきっと、 希に初めて出会った時、希という存在を認識した瞬間から私の世界がめまぐるしく動き出した。それなのに...