こんにちは薄情 さよなら恋慕
「りん……っ…」 かわいいね、ただ本当のことを言っただけなのに、真姫ちゃんが急にいつもの態度をひっこめて顔を赤くしたから少し調子にのっただけ。汚いって嫌がるかなと思ったのに、教室の床に押し倒したら抱きついてきた。 「りんのこと、好き?」 「…う、…っん………あっ…」...
やさしい不機嫌
※生理ネタ注意 「さわらないで」 そろそろ帰るねって、シーツに包まった真姫ちゃんの肩に触れようとしただけなのに。冷たい拒絶。 真姫ちゃんは月に一度、こうしてなにもかも投げ出して眠りにつく。 「まきちゃん」 「なに」 「お腹、つらい?」...
枕の下は鬼門やで
「ねえ、希。百合ってなに?」 「えっと、その…」 ニコニコしながら専門用語を口にする純粋な親友に対して、うちはどうすればいいかわからず泣きたくなった。 えりちがテスト勉強をしようと持ちかけてきて、それならばとうちの家で勉強会をすることになった。本当はにこっちも誘って3...
言えないわがまま
校門を出てえりちにさよならを言うまでの15分間。 このたった15分間をガラスケースに入れて永遠に保管できればいいのに。 生徒会の仕事をすべて終えて、えりちと一緒に校門をくぐりぬける。空を見上げれば山吹色に染まる空。優しい色。今日感じた楽しいことも悲しいこともすべて包み込...
やわらかい夜
あざといくらいに媚びを売って、頭が悪そうな女だと思ったのが第一印象。甘ったるくて鬱陶しい。女として確実に私よりも下だと目にも留めていなかった。 「もう酔ったんですか?」 女子校の制服バトルの一件から、度々食事をするようになった。デザイナーとプレス、同じチームではあるけれどこ...
ひとりじゃなんにもできない
ほんとうの物語をおしえて 5 「あなたを愛しているの」 電話越しで遠い誰かにそう告げるのを聞いて馬鹿みたいだと思った。そこまでしてだれかに執着しても意味はない。結局ひとりになるんだから足掻いたところでどうにもならないのに。相手から一方的に通話を切られたのか彼女は黙り込んだ。...
あなたから熱くなれ
ほんとうの物語をおしえて 4 「んっ……えりち、」 「裾、ちゃんと持ってて」 「んっ…ぅ……ごめ、ん…っ」 ブラウスの裾を希に持たせて、ブラを押し上げて真っ白な胸を露わにする。そして桜色の先端に顔を近づけてゆっくり吸いついた。...
微笑みよりも甘いのは、
ほんとうの物語をおしえて 3 朝昼晩、規則正しく食事が用意されて、部屋が散らかることなく綺麗に保たれている。乱れた生活リズムがこの1ヶ月で改善されていた。例えば食器を洗う音だったり、掃除機の音、トントントンと手慣れた様子で包丁を扱う音。私にはあまり縁のない生活の音を希が奏で...
冷たい言葉 / 優しい視線
ほんとうの物語をおしえて 2 珍しく目覚ましよりも早く起床してぼーっとした意識のままリビングに行けばソファがこんもりと盛り上がっていた。まだ夢の中かとふわふわ考えていたら、そういえばとんでもない拾い物をしたのだと思い出す。キッチンでインスタントコーヒーを淹れぼんやりとソファ...
ドアに挟まったプロローグ
小説家絵里となにも持ってない希の話。 ほんとうの物語をおしえて 1 「ねえ、おねがい。戻ってきて」 電話口でささやかれる甘い声。何度も聞いてきたこの声を、心地よく感じていたことがかつてあった。 「あなたがいないとだめなの」 やめて。 「絵里もそうでしょ」 もうやめて。...